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「じっげんちゃぁ~ん☆今日のご飯なんだけっども・・・・」
いつもの声・いつものアイツ。そんな日常的なことではあるが、以前からどうしても言いたいことがあった。
「おい・・・いい加減、その呼び方は止めろ。」
「・・・?え、なになに??」
「だから、“ちゃん”なんざ、髭面のおっさんに付けるもんじゃねーだろうがよ。」
至極真っ当なツッコミだと思っていたのだが、この男―ルパンⅢ世にしてみれば、摩訶不思議な問いであったようだ。表情がきょとん、としたまま戻りもしない。
「なんで?だって不二子とか五エ門にも付けてるじゃん。別にお前だけとかじゃねーんだしさ。どっこもおかしくないだろ?」
理由を付けて言ってやったにも関わらず、再度繰り返される質問。
もうここははっきり言っておいてやろうと、言葉を続ける。
「不二子や五エ門は良いんだよ・・・・不二子の奴は女だし、五エ門は・・・・なんつーか、年下だしな。無駄に真面目で、可愛いっつーのもわかるだろ。」
五エ門にも“ちゃん”を付けるのが正しい、とは言えないが、どこか末っ子気質な侍に“可愛い”と感じる部分もあるためまぁ許せる範囲と思えた。
だがしかし、自分はどうだ。どこをどうとったとしても、自分自身では“可愛い”と思える部分はない。・・・・と、言うよりそんなこと微塵でも思われていたら気持ち悪くて仕方がない。
「まぁ、“可愛い”から“ちゃん”を付けるってわけでもないんだろうが・・・。」
「え?“可愛い”から“ちゃん”って付けたくなるんじゃねーの?」
やっぱりそうなんじゃねーか。
ルパンにとっては人を呼ぶ時の癖みたいなもんか?と心の中でフォローしたつもりであったが、そうではないと言う。
なら一体、どこに俺を“ちゃん”づけで呼ぶ理由があると言うのだ。
「そうか・・・なら最初に言った通りだ。俺に“ちゃん”を付けて呼ぶのはおかしいんだよ。止めろ。」
「いやいや待って待って、こぉんなに可愛らしいお前を、“ちゃん”付けで呼んじゃいけないなんておかしいだろ?」
「てめーは・・・頭おかしいんじゃねーのか?!俺のどこが可愛らしいって言うんだ!気持ち悪いこと言うな!」
「可愛いだろ!全部!姿も中身も行動もすべて!!」
「あ゛ぁ?!」
この男は、天才とは言え紙一重で馬鹿なのではないか?と真面目に思えてしまう時がある。
くそまじめに“可愛い”を繰り返す男に、ツッコむ気力も失われていく。というより、こうも頑なに言いはられては、きっとその思考を覆すことは不可能と感じる。
「・・・・・っち、勝手にしろ!」
反論が無意味となれば、“可愛い”理由を永遠と繰り返すルパンの前からさっさと立ち去りたいというもの。
ルパンに背を向けて、足早にその場を去ろうとしたその去り際。
「そんな可愛らしい次元ちゃんが、俺様大っ好きなんだけっども!」
と聞こえては、無意識に火照ってくる頬と集まる熱に「ああ、くそっ/////」と悪態をついてごまかしても、仕様がなく。
自分なんぞが“可愛い”理由は未だに理解できないが、ルパンに“可愛い”と言われることが嬉しいと感じている自分に気づき、
「頭おかしーのは、俺の方・・・か?」
とやるせない想いに項垂れることになる。
~Fin~